フェイスリフトで頬をアップする方法

患者さまのご理解のために

鏡をお見せしながら患者さまの希望をお伺いしますと、たいていの方は両方の手指で耳前部の皮膚を後上方に引き上げ、「このようになれば満足なのですが…」と答えられます。
老化の代表的な悩みであるnasojugal fold(頬瞼溝)、nasolabial fold(鼻唇溝・法令線)などは手指を使って皮膚を引っ張ることにより容易に消失し、簡単な手術でそのような効果が出るわけではありません。しかし、東洋人は皮膚・皮下組織が厚くて重く、また骨格的にも頬骨、エラが張り出していることも多いため、フェイスリフト効果が出にくいことが多いのです。この“患者さまの理想像”と“手術効果の限界”とのギャップを埋めるための有効な手術法について、SMAS、retaining ligamentの解剖学的特長を中心に説明いたします。

SMASの解剖学的特長

フェイスリフト手術の目的は、加齢により下垂した皮膚、皮下軟部組織をrepositioningすることです。
歴史的には1976年Mitzらによる顔面の表在性筋膜の詳細な解剖学的研究を機にこの筋膜層はSMAS(superficial musculo-aponeurotic system)と称されて、以後フェイスリフト術式の変遷はSMASの解剖学的研究とともに進展しました。SMASは、帽状腱膜(galea)-前頭筋(M.frontalis)-浅側頭筋膜(superficial temporal fascia;STF)-SMAS-広頚筋(platysma)と連続した表在性筋膜の一部を構成します。
ここで重要なことはSMASは頬部中央で大頬骨筋(M.zygomaticus major)と強く結合しており、この部位で浅層・深層に分かれ、大頬骨筋を取り囲んでいます。すなわち、SMASを単に外側方向に引っ張ることは、大頬骨筋を外側に引っ張ることになり、結果的に鼻唇溝を深めます。

SMAS

フェイスリフト,頬

Retaining ligamentの解剖学的特長

顔面のretaining ligamentは重量に拮抗して軟部組織を支えている支持組織で、SMASとともにフェイスリフト手術を行なううえで重要な解剖学的ポイントとなります。
1959年、McGregorによりzygomatic cutaneous ligament(McGregor’s patch)が紹介され、その後、Furnas、Mendelsonらによりさらに詳細な解剖学的、臨床的研究が行なわれています。Retaining ligamentは非常に硬く頑丈で、顔面の皮膚(真皮)と骨格、深筋膜層とを連結しています。
臨床的には、老化によりzygomatic ligamentが緩むと頬脂肪全体(malar fat pad)の内側下方への下垂が起こり、結果として鼻唇溝が深く目立つようになります。
一方、masseteric ligamentが緩むと頬部全体の脂肪は下顎縁周辺まで下垂し、いわゆる“jowl変形”が起こります。

SMAS

フェイスリフト,頬

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